夢見が丘
「あーまた徹夜になっちまったな」
オレの腕時計は午前5時をさしていた。
「学校行くのもめんどくさいよなー」
ここは、家の近くにある高台だ。オレは、そこで夜を明かしてしまったのだ。
オレには、たまにこんな夜がある。眠れない夜ではなく眠らない夜が……。
今日は雲一つない夜空に、いくつもの星が輝いている夜だった。
そんな星空を見上げていたらいつの間にか朝が迫っていた。
星たちも東の空から上ってくる太陽に、ゆっくりと姿を消されていく。
あと何時間かでオレの眼下に広がる町も目を覚ますだろう。
オレはごろんと草むらに寝ころがった。
だんだんと眠気が襲ってくる。このまま眠るのも悪くない
と、そう思ったとき……
「おーい、そんなところで寝るとかぜひくぞー」
耳元で誰かがさけんだ。
オレは半分眠りに入っていた体を起こす。
「なんだ、お前か」
「なんだじゃないわよ! 人がせっかく起こしてあげたのに」
静かな朝があっという間にやかましくなった。
こいつが来たって事はそろそろ帰る時間だ。
また、つまらない生活が始まるだろう。平和で刺激のない生活が……。
その生活に飽きたらまたここに来よう。
星空の広がるこの場所に……