year 2000




  夢見が丘   


「あーまた徹夜になっちまったな」
 オレの腕時計は午前5時をさしていた。
「学校行くのもめんどくさいよなー」
 ここは、家の近くにある高台だ。オレは、そこで夜を明かしてしまったのだ。
 オレには、たまにこんな夜がある。眠れない夜ではなく眠らない夜が……。
 今日は雲一つない夜空に、いくつもの星が輝いている夜だった。
 そんな星空を見上げていたらいつの間にか朝が迫っていた。
 星たちも東の空から上ってくる太陽に、ゆっくりと姿を消されていく。
 あと何時間かでオレの眼下に広がる町も目を覚ますだろう。
 オレはごろんと草むらに寝ころがった。
 だんだんと眠気が襲ってくる。このまま眠るのも悪くない
 と、そう思ったとき……
「おーい、そんなところで寝るとかぜひくぞー」
 耳元で誰かがさけんだ。
 オレは半分眠りに入っていた体を起こす。
「なんだ、お前か」
「なんだじゃないわよ! 人がせっかく起こしてあげたのに」
 静かな朝があっという間にやかましくなった。
 こいつが来たって事はそろそろ帰る時間だ。
 また、つまらない生活が始まるだろう。平和で刺激のない生活が……。
 その生活に飽きたらまたここに来よう。
   星空の広がるこの場所に……




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